今日は中学校数学教員の僕が「学校では教えてくれない超ディープな数学の教科書」を読んで考えたことを一人議論します。

この本では、中学校で習う数学を定義(ルール)と定理(事実)と分けて、徹底して定義から定理を導くスタンスを取っています。
例えば、「マイナス×マイナスはプラスになる」は定義ではなく、事実です。
この事実を「嫌な人に嫌なことがあったら嬉しいから、マイナス×マイナスはプラス」というような、具体例で例えて覚えさせるような説明はしません。
「-aはa+(-a)=0となる数である」という定義に基づいて、なぜマイナス×マイナスはプラスなのかを説明しています。
中学校の教科書では「0よりa小さい数を-aとする」と定義していて、そこからなぜマイナス×マイナスがプラスになるかを説明していますが、厳密な説明ではありませんし、その説明もほどほどにして、「マイナス×マイナスはプラス。とにかく覚えなさい」と言っているのが実情です。
生徒も「先生が覚えろと言っているから覚えるか」くらいの感覚で、「なぜそうなるのか?」は気にしていません。
僕はこの現状に疑問を持っています。
僕が中学生の時から(今もそうですが)納得できないことはしたくない!と思っていたので、何かを教えられるたびに何でそうなるんだろう?と思っていました。
でも、「何でそうなるのか?」は気にならない人が多数派なので、中学校の授業でも「なぜそうなるのか」を突き詰めて教えることはないんだと思います。
でも、なぜそうなるのか?を考えなかったら、「将来役に立つから」という勉強する理由は弱くなると思うんです。
だって、コンピューターがあるもん。
計算自体はコンピューターにさせればいいし、わざわざ手計算をする大人もいないと思う。
ただ、なぜそのように計算できるのか?を考えることでつく力は大人になっても使うと思う。
この本を読んで、当たり前だけど驚いたことは、数学になじみがなければ定義と定理の区別をつけるクセはつかないということ。
多くの人は、数学の定理も定義も全部覚えるものというイメージを持っているということ。
数学に対してこんなイメージが広まっているのはちょっと寂しいなと思うので、この本のように、定義から定理を導く授業をやりたいなーと思いました。
ご一読ありがとうございました!