数学教員の一人議論

とある数学教員が頭の中の一人議論を形にします。

中1の正の数・負の数の計算はかけ算から教えた方がいい説

私は中学校で教員をしています。

毎年、中1で正の数・負の数の計算を教えるときに思うことがあります。

それは

足し算引き算よりかけ算・割り算から教えた方が良くね??

 

理由は2つあります。

まず

かけ算割り算の方が簡単だから。

2\times(-5)=-10

とか

(-4)\times(-3)=12

などの計算は

マイナス×プラス=マイナス

マイナス×マイナス=プラス

さえ覚えれば、後は小学校の掛け算と同じです。

それに比べて

(-5)+(-7)=-12

(-5)+9=4

-4-(-3)=1

などの計算は

・答えがプラスになるのかマイナスになるのか

・そもそも足し算なのか引き算なのか

・絶対値は足すのか引くのか

が符号と絶対値の大きさで変わります。

これを判断するのが数学が苦手な子にとっては非常に難しい。

教科書ではこの足し算・引き算から教えるのですが、ここでつまづいて数学が嫌になる子が多いんじゃないかと思います。

一番最初に教える計算なので、せっかく「中学校に入ったらもう一回算数頑張ろう!」と意気込んでいた子が初っ端から心折れる姿を何回も見てきました・・・

 

かけ算・割り算を先に教えた方がいいと思う理由の2つ目。

引き算が分かりやすくなるから。

例えば-4-(-3)の計算を教えるときに、かけ算を知らないと

-4-(-3)

-4より-3小さい数を求める

→-4より3大きい数を求める

→-4+3を計算する。

という教え方をすることになります。

他の教え方にするにしても

引き算は足し算の反対だから符号を変える

という教え方にはなるのではないでしょうか。

でも、数学が苦手な子ってそもそも引き算とマイナス符号の区別がつき辛いので、引き算だと認識するのが難しいと思います。

そこで、中学校からは

ーの記号があったらマイナス符号だと思おう!

と教えるのはどうでしょうか。

つまり-4-(-3)ならマイナス4、マイナスのマイナス3と考える。

マイナスのマイナス3は-1×(-3)と解釈して+3

(かけ算を先に教えていれば、マイナスのマイナスはプラスという解釈は簡単だと思う)

ー4+3になって答えはー1と答えられます。

 

ここまで、足し算・引き算より先にかけ算を教えた方がいい理由を書いてきました。

しかし、かけ算を先に教えるときの課題も当然あります。

・足し算引き算を教えていないのにどうやってかけ算を定義するのか。

(マイナス×プラスはマイナス、マイナス×マイナスはプラスだよ。って言えば計算の答えは合うようになるだろうけど、そんなやり方を覚えるだけの数学に価値があるのかな・・・)

・-4-(-3)の-(-3)を-1×(-3)と解釈するのは生徒からしたら不自然。

(教師の教えこみになってしまうので理想的な学び方ではないなと思う)

などなど。

 

まぁ課題は山積みですけど、かけ算から教えることを検討する価値はあるのではないかと思います!

ご一読ありがとうございました。