数学教員の一人議論

とある数学教員が頭の中の一人議論を形にします。

校長先生からの挑戦問題を受けてみた!

私は公立中学校で数学の教員をしています。

昨日、仕事場の自分のデスクに、こんな問題が書かれた紙がおいてありました。

 

 

後々分かったのですが、これは校長先生(校長先生も数学科)からの宿題らしい笑

数学科の先生みんなの机に置いていたみたいです。

校長先生は

「あの問題はええ問題やで!解いてみてよ~」

と楽しそう。

校長先生は数学が好きなのでこういうことはたまにあります。

 

というわけで、解いてみました。

ちなみに、校長先生は

「受験生に出すと練習になるいい問題やで~」

と言っていたので、中学校の知識で解ける解法を考えてみました。

 

まず、面積を知るためには何が分かればいいか。

それは

「底辺×高さ」つまり「BC×AB」

ですよね。

ここで個人的にポイントだと思っているのは、BCとAB自体を求める必要はなくて、

BC×ABの値が分かればいいのです。

では、どうすればBC×ABの値が分かるのでしょうか。

せっかく直角三角形という条件もあるし、斜辺が4cmという条件もあるから、三平方の定理を使いたくなります。よいしょ

{BC}^2+{AB}^2=16

ここからBC×ABが出てくるように式変形をします。

(BC+AB)^2-2BC×AB=16

BC×AB=\dfrac{(BC+AB)^2-16}{2}・・・①

これで後はBC+ABの値が分かればよいことになります。

ここで、まだ使っていない∠BAC=75°という条件があります。

これを使いたくなります。

75°といえば45°+30°と有名角に分けることができる角度です。

また、45°と30°の三角比を使いたいという思いから次のような補助線を引いてみました。

 

 

さらに30°と45°の三角比から下の写真のように長さが次々と分かります

(ここの説明は文にすると長いのでカット)

 

 

ところで、△ABCと△DBEは相似なので、

BE=\dfrac{\sqrt2}{\sqrt3}AC\times \dfrac{BC}{AC}=\dfrac{\sqrt2}{\sqrt3}BC

 

 

ということで

\dfrac{\sqrt2}{\sqrt3}AC+\dfrac{\sqrt2}{\sqrt3}BC=4

AC+BC=\dfrac{\sqrt3}{\sqrt2}\times4=2\sqrt6

①より

△ABC=\dfrac{1}{2}BC\times AC\\=\dfrac{1}{2}\left\{\dfrac{(2\sqrt6)^2-16}{2}\right\}\\=\dfrac{1}{2}\times\dfrac{8}{2}\\=2

 

というわで答えは2だと分かったのですが、もう少しスマートなやり方がありそうだなとモヤっとしています。

こんな方法があるよ!と教えてくださる方はぜひコメントかXのリプライで送ってください。

僕が喜びます。

https://twitter.com/CvQiWwfj4hV2fyu

 

 

 

 

朝ごはんは食べるべき?

みなさんこんにちは。

この記事では独断と偏見で朝ごはんを食べるべきか食べないべきかを考えていきます。

 

私は子どもの頃から朝ごはんを食べるのは当たり前だと思っていましたが、朝ごはんを食べない方が頭が冴えると考えている人もいるようです。

朝ごはんを食べると消化にエネルギーを使いますし、血糖値が上がることで頭が少しボーッとするので、朝から頭をフル回転させたい人は朝ごはんを抜くのかもしれません。

 

私は教員をしているのですが、朝に出勤して、すぐに頭をフルに使って考えるようなことは珍しいです。

朝の打ち合わせが始まる10分前くらいに出勤しているので、出勤して準備をしているうちに

朝の打ち合わせ→朝の会→授業

とバタバタするので、あまりゆっくり頭を使うことはないですね。

(このバタバタ感が好きではないので、「もっと早く出勤したい」とは思っているのですが、仕事に行くのは気が重くていつもギリギリになってしまいます(笑))

だから、頭を使うというよりは体を動かしている感覚なので、私の場合は、朝ご飯は食べるべきなのかなと思っています。

 

ですが、いつ朝ご飯を食べるかが重要だと感じています。

私は、朝起きてから少し本を読んだり、ブログを書いたりと、頭を使う活動をしてから出勤することがあります。

ですから、朝起きてすぐに朝ごはんを食べると、本を読んだり、ブログを書いたりする効率が下がると思っているので、出勤する直前に食べるのがいいと思っています。

まとめると

「起床」→「頭を使う朝活」→「朝ごはん」→「出勤」

という流れが理想になります。

「頭を使うためにはエネルギーが必要だから朝ご飯を食べるべきなのでは?」

と思われる方もいるかもしれませんが、個人的には水かプロテインを飲めば頭が冴える感覚がします。

炭水化物を食べると頭がボーッとする感じがするんですよね。

 

つらつらと朝ごはんの是非について書いてきましたが、朝ごはんを食べるべきかどうかは色々な要素によって決まると思っています。

「体質」「運動習慣の有無」「その日の体調」「何を食べるか」「いつ食べるか」…

朝ごはんを「食べる」「食べない」だけで一概に分けることもできないので、色々試しながら肌感覚で一番自分に合っていると思う方法を考えていきたいですね。

 

以上です。ご一読ありがとうございました。

 

5÷1/2はなぜ10になるのかを簡単に解説します。

この記事では「5÷1/2がなぜ10になるのか」を解説します。

多くの人は

「分数で割るときは逆数をかければいいから5÷\dfrac{1}{2}=5\times2=10

と考えるのではないでしょうか。

そう学校で習いましたもんね。

ただ、なぜ分数で割るときは逆数をかければよいのでしょうか。

「そういうもんだから」で終わらせている人も多いですが、少しもったいないと思います。

5÷\dfrac{1}{2}が10になる理由は案外シンプルなので解説していきますね。

 

なぜ5÷\dfrac{1}{2}が10になるのか。

結論から言うと

10\times \dfrac{1}{2}が5になるからです。

これだけだとよく分からないので詳しく説明します。

 

そもそも割り算とは何なのでしょうか。

6÷3はなぜ2なのでしょうか。

「6個のりんごを3人で分けたら1人2個だから6÷3は2」

と考える人が多いと思います。

この考え方は分かりやすくて便利ですが、汎用性に乏しいという欠点があります。

5÷\dfrac{1}{2}を説明するときに

「5個のリンゴを\dfrac{1}{2}人で割るってどういうこと?」

となってしまうのです。

そこでa÷bの結果を

bを掛けたらaになる値

と考えましょう。

例えば6÷3の結果は

3をかけて6になる数です。これは2ですね。

このように考えると5÷\dfrac{1}{2}の結果は

\dfrac{1}{2}をかけて5になる数

となります。これは10ですよね。

 

この考え方は色んな割り算に応用できます。

\dfrac{2}{3}÷\dfrac{8}{9}の結果は

\dfrac{8}{9}をかけて\dfrac{2}{3}になる数です。

式にすると

\dfrac{□}{○}\times\dfrac{8}{9}=\dfrac{2}{3}

となる□と○を考えることになります。

□=3,○=4であれば\dfrac{3}{4}\times\dfrac{8}{9}は約分して\dfrac{2}{3}になりますよね。

だから\dfrac{2}{3}÷\dfrac{8}{9}の答えは\dfrac{3}{4}になります。

 

解説は以上です。

「分数で割るときは逆数をかける」と覚えるのはかなりの汎用性がありますが、なぜそうなるのかを考えることが無くなります。

なぜそうなるのかを考えていくうちに色々な数学力もついてくるし、何より「なぜそうなるのか」が分かることは楽しいです。

遠回りに思えるかもしれませんが、やり方を覚えるのではなく「なぜそうなるのか」を学ぶことが数学力を上げる近道だと思います。

ご一読ありがとうございました。

楕円の焦点を求める公式の思い出し方

みなさんこんにちは。

みなさんは楕円の焦点を求める公式を覚えていますか?

僕は覚えていません(笑)

楕円とか双曲線とかの公式って色々あって覚えるの大変ですよね。

そして、頑張って覚えたところで使うことがあまりないので、また忘れてしまいます。

そこで、覚えるのではなくその都度、焦点を求めればいいのではないでしょうか。

この記事では

「楕円の焦点を求める公式の思い出し方」を解説します。

 

そもそも楕円の焦点とは何でしょうか。

そのためには楕円とは何かを考える必要があります。

楕円とは2点F,F'からの距離の和が一定になるような点の集まりです。

そしてこのF,F'を焦点と呼びます。

(下図のように2つの焦点F,F'はy軸に対して線対称な位置にあります)

 

楕円\dfrac{x^2}{25}+\dfrac{y^2}{9}=1の焦点F,F'

 

結論としては、楕円\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1(a>b)の焦点F,F'の座標は

F(\sqrt{a^2-b^2},0),F'(-\sqrt{a^2-b^2},0)

となります。

これがなぜなのかを楕円\dfrac{x^2}{25}+\dfrac{y^2}{9}=1を例にして考えてみましょう。

まず、楕円上の点Pから2つの焦点F,F'までの距離の和は一定になるのでした。

この一定の値を求めてみましょう。

 

 

楕円上の点PをA(5,0)と一致させてみました。

このとき

F'P+FP=BA=10

なので、楕円上の点Pが他の場所にあってもF'P+FP=10になります。

(ちなみに、この考え方から楕円\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1上の点Pから2つの焦点F’とFの距離の和は2aになることも言えます。)

では次は点Pを点Dと一致させてみましょう。

 

 

F'P+FP=10であることとF'P=FPであることからFP=5となります。

△OPFに三平方の定理を用いると

\begin{align}OP^2+OF^2&=FP^2\\3^2+OF^2&=5^2\\OF^2&=5^2-3^2\\OF^2&=16\end{align}

OF>0よりOF=4

よって2つの焦点F,F'の座標は

F(4,0),F'(-4,0)

になります。

(この考え方から楕円\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1の焦点は

F(\sqrt{a^2-b^2},0),F'(-\sqrt{a^2-b^2},0)

になることも分かります。)

 

以上です。

公式って覚えていなくてもすぐに導出できるなら、それで十分ですよね。

ご一読ありがとうございました。

 

数学検定の合否が分かりました!

みなさんこんにちは。

今日は10月29日に受けた数学検定のweb合格確認日でした。

日本数学検定協会提供

結果は…

一次試験のみ合格。二次試験は不合格でした。

試験が終わったときは

「一次試験は大丈夫そうだけど、二次試験は自信がないな」

と思っていたので、予想通りの結果ではあったのですが

いざ、不合格と言われると悔しい。

悔しい理由は2つあります。

1つ目の理由は

今の自分に高校で数学を教えられる実力はないと思えたからです。

高校数学の教員免許をもっているのですが、数学検定準1級の目安は「高校3年程度」です。

この「高校3年程度」の試験に合格できなかったということは、高校3年生のレベルにも達していないということ。

これでは、高校で数学を教えることはできませんし、高校数学の教員免許が形だけになっています。

現在は中学校で数学を教えていますが、今も高校志望なので、その実力がないというのは悔しいですね。

2つ目の理由は

数学力が衰えているとはっきり分かったからです。

高校卒業時は自分の数学力にも自信があって、高校3年生レベルの問題はだいたい解けました。

しかし、今回の検定では力が及びませんでした。

「いくらか数学力は下がっているな」

とは思っていましたが、

数学検定準1級に落ちるほど下がっているとは思っていませんでした。

こうやってはっきりと実力の低下が見えてしまうとショックですね…

 

とはいえ、今回の結果をポジティブに解釈することもできると思っています。

そもそも数学検定準1級を受けた理由は

「今の自分の実力を知るため」

「数学の勉強のモチベーションを上げるため」

でした。

数学検定を受けなければ「数学力が高校3年程度より落ちている」ということを受け入れられなかったでしょうし、「数学を勉強する楽しさを思い出す」こともできなかったと思います。

今、高校3年程度の実力が無くなっているというだけで、これからまた勉強して実力をつけていけばいいですもんね。

次の検定は来年の2月17日です。

あと3か月ありますので、またぼちぼちと楽しみながら勉強していきます!

ご一読ありがとうございました。

 

富山大学の2022入試問題を解説してみました。

この記事では富山大学教育学部で2022年に出題された以下の問題を解説します。

 

\displaystyle\sum_{k=1}^na_k=n^3+\dfrac{5}{2}n^2-\dfrac{639}{2}nを満たす数列\left\{{a_n}\right\}の一般項を求めよ。

 

公式を忘れている方も理解していただけるように、できるだけ公式を使わずに解説していきます。

では早速やってみましょう。

 

与えられた条件式の左辺を\sumを使わずに表すと

a_1+a_2+\cdots+a_{n-1}+a_{n}=n^3+\dfrac{5}{2}n^2-\dfrac{639}{2}n\tag{1}

n\geq2のとき(1)にn-1を代入すると

a_1+a_2+\cdots+a_{n-1}=(n-1)^3+\dfrac{5}{2}(n-1)^2-\dfrac{639}{2}(n-1)\tag{2}

(1)-(2)より

\begin{align}a_n&=n^3-(n-1)^3+\dfrac{5}{2}\left\{n^2-(n-1)^2\right\}-\dfrac{639}{2}\left\{n-(n-1)\right\}\\&=n^2+n(n-1)+(n-1)^2+\dfrac{5}{2}(2n-1)-\dfrac{639}{2}\\&=3n^2+2n-321\end{align}

これにn=1を代入すると3+2-321=-316

また、問題の条件式にn=1を代入すると

a_1=1+\dfrac{5}{2}-\dfrac{639}{2}=-316

よってすべての自然数nに対して

a_n=3n^2+2n-321

 

解説は以上です。

数列の和から数列を求める問題でしたね。

読んでいただいた方の良い頭の体操になっていたら嬉しいです。

ご一読ありがとうございました。

 

 

直線:ax+by+c=0に関して点P(x_1,y_1)と対称な点P'の座標は?

みなさんこんにちは。

今日は次の問題について考えます。

 

直線l:ax+by+c=0に関して点P(x_1,y_1)と対称な点P'の座標を求める。

 

直線を鏡と考えて点Pを鏡に映したとき(鏡映)の像の場所を考えるということですね。

 

 

 

ではやっていきましょう。

P'(s,t)とおくとHはP,P'の中点\left(\dfrac{x_1+s}{2},\dfrac{y_1+t}{2}\right)である。

これが直線ax+by+c=0上にあるので

a\cdot\dfrac{x_1+s}{2}+b\cdot\dfrac{y_1+t}{2}+c=0\tag{1}

が成り立つ。

直線lの方向ベクトルが(b,-a)で直線PP'⊥直線lより方向ベクトルの内積が0になることから

b(s-x_1)-a(t-y_1)=0\tag{2}

(1)(2)を整理して

\left\{\begin{array}{l}as+bt=-ax_1-by_1-2c\\bs-at=-ay_1+bx_1\end{array}\right.

これを解いて

s=\dfrac{(b^2-a^2)x_1-2aby_1-2ac}{a^2+b^2}

t=\dfrac{(a^2-b^2)y_1-2abx_1-2bc}{a^2+b^2}

よってP'の座標は

P'\left(\dfrac{(b^2-a^2)x_1-2aby_1-2ac}{a^2+b^2},\dfrac{(a^2-b^2)y_1-2abx_1-2bc}{a^2+b^2}\right)

 

以上です。

かなり複雑な式になってしまいましたので、公式として覚えるのは難しそうですね。

それとも変形すればもう少し意味が分かりやすい形になるのでしょうか。

ご存じだったら教えてください。

ご一読ありがとうございました。