数学教員の一人議論

とある数学教員が頭の中の一人議論を形にします。

楕円の焦点を求める公式の思い出し方

みなさんこんにちは。

みなさんは楕円の焦点を求める公式を覚えていますか?

僕は覚えていません(笑)

楕円とか双曲線とかの公式って色々あって覚えるの大変ですよね。

そして、頑張って覚えたところで使うことがあまりないので、また忘れてしまいます。

そこで、覚えるのではなくその都度、焦点を求めればいいのではないでしょうか。

この記事では

「楕円の焦点を求める公式の思い出し方」を解説します。

 

そもそも楕円の焦点とは何でしょうか。

そのためには楕円とは何かを考える必要があります。

楕円とは2点F,F'からの距離の和が一定になるような点の集まりです。

そしてこのF,F'を焦点と呼びます。

(下図のように2つの焦点F,F'はy軸に対して線対称な位置にあります)

 

楕円\dfrac{x^2}{25}+\dfrac{y^2}{9}=1の焦点F,F'

 

結論としては、楕円\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1(a>b)の焦点F,F'の座標は

F(\sqrt{a^2-b^2},0),F'(-\sqrt{a^2-b^2},0)

となります。

これがなぜなのかを楕円\dfrac{x^2}{25}+\dfrac{y^2}{9}=1を例にして考えてみましょう。

まず、楕円上の点Pから2つの焦点F,F'までの距離の和は一定になるのでした。

この一定の値を求めてみましょう。

 

 

楕円上の点PをA(5,0)と一致させてみました。

このとき

F'P+FP=BA=10

なので、楕円上の点Pが他の場所にあってもF'P+FP=10になります。

(ちなみに、この考え方から楕円\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1上の点Pから2つの焦点F’とFの距離の和は2aになることも言えます。)

では次は点Pを点Dと一致させてみましょう。

 

 

F'P+FP=10であることとF'P=FPであることからFP=5となります。

△OPFに三平方の定理を用いると

\begin{align}OP^2+OF^2&=FP^2\\3^2+OF^2&=5^2\\OF^2&=5^2-3^2\\OF^2&=16\end{align}

OF>0よりOF=4

よって2つの焦点F,F'の座標は

F(4,0),F'(-4,0)

になります。

(この考え方から楕円\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1の焦点は

F(\sqrt{a^2-b^2},0),F'(-\sqrt{a^2-b^2},0)

になることも分かります。)

 

以上です。

公式って覚えていなくてもすぐに導出できるなら、それで十分ですよね。

ご一読ありがとうございました。