数学教員の一人議論

とある数学教員が頭の中の一人議論を形にします。

「みはじ」の問題について

みなさんはこの図を見たことありますか。オペレーター イラスト フリー (389 無料写真)

 

速さ・道のり・時間の関係を覚えるための図ですね。

昨日生徒に

「次の授業はみはじの問題ですか?苦手なんですよね~」

と言われて

「やはり、みはじの図が消えるのはまだまだ先のことだろうな」

と思った。

私は

みはじの図が子どもたちに浸透しているのを見ると、数学教育者として悲しい気持ちになる。

「こんな図に頼らないと割合の問題を理解することができないのか。いや、そんなの割合を理解していることにならないし、これを先生達が容認しているのが何より恐ろしい」と。

 

たしかに割合の問題は、算数が苦手な子にとっては苦労するだろう。

だからといって、速さ・道のり・時間の関係を公式にしていては、すべての割合の問題で公式を覚えなくてはいけなくなる。

そして何より私が嫌なのは

「算数数学は公式を覚えて適用する学問」というイメージが植えつけられることだ。

小学校の先生には子どもたちに「自分の頭で考える」ことを習慣付させてほしい。

 

とはいっても、こんなこだわりを持つのは私の専門が数学だからかもしれない。

もし私が小学校に移動になって社会を教えることになったら、授業をこなすことに精一杯で、「とりあえずテストの点数を取らせればいいか」という思考になり、社会教育の本質など意識できないだろう。

それに、学校は「生徒を自立させること」が目的であって、「割合の概念を理解させること」はそのための手段でしかない。

だから、子どもに割合を理解させることにこだわりすぎて、

「分からなすぎて、授業がつまんない。何もかもやる気ない」

と自己肯定感の低下や無気力を招くとしたら、たしかに目的に沿った指導法とは言えないかもしれない。

 

以上です。ご一読ありがとうございました。