数学教員の一人議論

とある数学教員が頭の中の一人議論を形にします。

大学入試レベルの問題解説(連立方程式)

みなさんこんにちは。

 

今日は次の連立方程式の解き方を解説します。

\left\{ \begin{array}{1} x+y+z=2\\ x^2+y^2+z^2=14 \\ xyz=-6\end{array}\right .

ただし、x,y,zx<y<zを満たす実数である。

 

まずこの連立方程式を見ると3つの式は全てx,y,zを入れ替えても変わりません。

つまり、対称性があることが分かります。

x,y,zの基本対称式には

 x+y+z\\xy+yz+zx\\xyz

の3つがありますが、この中で値が分からないのはxy+yz+zxだけですので、これを求めたくなります。

x^2+y^2+z^2=14なので

(x+y+z)^2-2(xy+yz+zx)=14

x+y+z=2を代入して

2^2-2(xy+yz+zx)=14

xy+yz+zx=-5

となる。

これで

\left\{\begin{array}{1} x+y+z=2\\xy+yz+zx=-5\\xyz=-6\end{array}\right .

が分かり、全ての基本対称式の値が分かりました。

こうなればこっちのもの。

3次方程式の解と係数の関係を使ってx,y,zが分かります。

x,y,zを解にもつtの3次方程式は

(t-x)(t-y)(t-z)=0

t^3-(x+y+z)t^2+(xy+yz+zx)t-xyz=0

t^3-2x^2-5t+6=0

(t-1)(t-3)(t+2)=0

t=-2,1,3

x<y<zよりx=-2,y=1,z=3である。

 

基本対称式の値さえわかれば方程式の解と係数の関係から文字の値が分かるというのは本当に便利ですね。

しかも、この方法は文字の値が何個であっても通用します。

このように一般化できる解法はとても美しいなと思いますね!

 

以上です。ご一読ありがとうござました。