数学教員の一人議論

とある数学教員が頭の中の一人議論を形にします。

解の公式より重要だと思う二次方程式の解き方がこれ

みなさんこんばんは。

みなさんは「方程式の解」がどういう意味だったか覚えていますか?

例えば

方程式x^2-3x+2=0
で左辺と右辺を一致させるxの値のことです。

これは1と2です。

左辺のxに1や2を代入すれば右辺と同じ0になるからです。

 

では、みなさんは二次方程式の解の公式を覚えていますか?

これです。

二次方程式ax^2+bx+c=0の解は

x=\dfrac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}

 

これはどんな二次方程式でもax^2+bx+c=0の形に変形できれば解けてしまう魔法のような公式です。

例えばこのように使います。

x^2+6x+4=0

なら、a=1,b=6,c=4です。

これを公式に当てはめると

x=\dfrac{-6\pm\sqrt{6^2-4\times 1\times 4}}{2\times 1}

=\dfrac{-6\pm\sqrt{36-16}}{2}

=\dfrac{-6\pm\sqrt{20}}{2}

=\dfrac{-6\pm2\sqrt{5}}{2}

=-3\pm\sqrt{5}

です。

こうやって機械的に方程式を解けてしまうのがこの公式の魔法のようなところです。

 

しかし、この魔法のような部分のせいで、数学が面白くなくなっている生徒がいるんです。

なぜこの公式が使えるのかもよく分からないけど、答えがあっているし、まぁいっか。

と納得もしていない、やらされている感マックスの数学になっている。

 

二次方程式の解き方としては以下の方法の方が圧倒的に納得感があるはず。

x^2+6x+4=0
(x+3)^2-9+4=0 ー①

(x+3)^2-5=0

(x+3)^2=5

x+3=\pm\sqrt{5} -②

x=-3\pm\sqrt{5}

 

①と②の理由を説明します。

左辺のx^2+6xの部分は(x+3)^2の一部です。
(x+3)^2を計算すると

(x+3)^2=x^2+6x+9
となるからです。
そこで、x^2+6x+4=0x^2+6xの部分を無理矢理(x+3)^2に変えると
左辺は(x+3)^2+4となりますが、これだとx^2+6x+9+4と同じ値なのでx^2+6x+4=0と一致しません。
そこで(x+3)^2に-9をつけることによって、つじつまをあわせています。

(x+3)^2-9+4=x^2+6x+9-9+4=x^2+6x+4
となりますからね。

これが①の理由です。

 

②の理由は

(x+3)^2=5
という式を日本語にすると

x+3は2乗して5になる数

という意味です。

2乗して5になる正の数を\sqrt5と定義するので、②の数式は

x+3=\pm\sqrt5

です。

 

①のように2次式を()^2の形にすることを平方完成といいます。

(x^2+6x(x+3)^2-9に変えた)

この平方完成を使う方法の方が解の公式より、圧倒的に納得感があると思います。

さらに、二次方程式x^2+(偶数)x+cとなっている場合は、平方完成をする方法の方が解の公式より計算も楽です。

 

意味が分からず解の公式を使うよりは、意味が分かる平方完成を使う方が数学が楽しくなると思うんですけど、どう思いますか?

 

ご一読ありがとうございました。