数学教員の一人議論

とある数学教員が頭の中の一人議論を形にします。

教員の転職を考える

私は教員をしているのですが、定年まで教員を続けるか転職をするか迷っていました。

そこで、鈴木裕さんの書かれた「科学的な適職」を読んだのでその感想をまとめていきます。

 

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科学的な適職【ビジネス書グランプリ2021 自己啓発部門 受賞!】 | 鈴木祐 | キャリア | Kindleストア | Amazon

 

この本は一言で言うと

「幸せになる仕事の選び方を科学的根拠に基づいて教えてくれる本」

です。

 

この本では仕事の幸福度を決める要素として次の7つをあげています。

①自由:仕事の内容や働き方に裁量権がある

②達成:前に進んでいる感覚を得られる

③焦点:モチベーションタイプにあっている

④明確:なすべきこと、ビジョン、評価値が明確である

⑤多様:作業内容にバリエーションがある

⑥仲間:組織内に助けてくれる友人がいる

⑦貢献:どれだけ世の中の役に立っているかわかる

 

教員という仕事がこの7つの要素にあてはまるかどうかを独断と偏見でチェックしていきます。

 

 

①自由:仕事の内容や働き方に裁量権がある。

教員の仕事の進め方は個人の裁量に任されている方だと思います。

授業で教えるべき内容をどのように教えるかはいくらでも工夫の余地がありますし、学級経営も先生によって大事にしているところが違って、かなりその先生の色が出ます。

誰がやっても一緒になるような仕事は事務的な書類作りくらいですね。

 

労働時間も私が勤めている学校ではそんなに長くはないです。

月の残業時間もだいたい40時間程で収まっています。

夏休みや冬休みは子どもが来ないので、有給休暇も取りやすいです。

一般企業に比べたら恵まれているんじゃないかなと思います。

ただ、教員は残業代がでないということは大問題ですし、中学校・高校では土日に部活指導が入ってしまうのは不自由です。

 

②達成:前に進んでいる感覚を得られる

前に進んでいる感覚は得られていません。

ただ、これは単に自分の工夫不足が原因だ思います。

教員でなくても、自分で仕事の進捗状況や成長具合を可視化できるようにすれば、達成感は得られるはずです。

だから、この「前に進んでいる感覚」を得られるように工夫すればもっと教員の仕事が楽しくなるということでしょうね。

 

③焦点:モチベーションタイプにあっている

モチベーションの上げ方は人によって次の2つのタイプに分かれるそうです。

攻撃型:目標を達成して得られる「利益」に焦点を当てて働くタイプ

防御型:目標を「責任」の一種としてとらえ、競争に負けないためにはたらくタイプ

私は防御型です。

リスクを避けるタイプだと思います。

教員がどちらのタイプの仕事かと言われると、どちらもあると思います。

子どもの成長のために挑戦的な教育活動をすることもありますし、学校が荒れないために保守的に動くこともあります。

どの職場でも両方のタイプの仕事があると思います。

 

④明確:なすべきこと、ビジョン、評価値が明確である。

教員の仕事は全然明確ではないです。

ざっくりいうと「子どもたちを成長させる」ことが目標なのですが、何を持って子どもが成長したことになるのかも分からないですし、子どもの成長を数値で測ることも難しいです。

また、「教員はなんでも屋」と言われたりしますが、仕事の境界があいまいです。

本来は登下校の責任は保護者にありますが、何か登下校中にトラブルがあると対応するのは教員です。

また、部活指導なんて教員の仕事ではないですが、実質教員がやるのが当たり前になっています。

このようなやるべき仕事のあいまいさは、残業代を払わないことによる労働時間のあいまいさと通づるところがありますね。

 

⑤多様:作業内容にバリエーションがある

作業内容のバリエーションはかなりあります。

授業や学級経営は1年を通してやっていくものですし、日々同じ作業にはなりません。

それ以外にも書類作りやレポート作り等もありますので、飽きは来づらい職業ではあると思います。

 

⑥仲間:組織内に助けてくれる友人がいる

職場で助けてくれる人がいるかどうかは、学校によるでしょう。

私の職場は助け合おうとする雰囲気はあるので、働きやすいです。

知り合いから一般企業の話を聞くと、雰囲気の悪い職場も多いようです。

教員にも色々な人がいますが、教員は人とコミュニケーションをとる場面が多いので、自然とコミュニケーション力がある人、相手を思いやる人が多くなるのではないかと思います。

 

⑦貢献:どれだけ世の中の役に立っているかが分かる

これは、私は分かりません。

この本には貢献していることを感じやすい職業として、子どもと直に接する機会があるという理由から教員が挙げられていました。

ただ、子どもたちは受けたくもない授業を受けたり、集団を守るためとはいえ、教員から理不尽な指導をされたりするのに、この子たちに自分は貢献できているのかと言われたら、分かりません。

子どもによるのではないかなと思います。

強いて誰かのためになっていると思えるのは保護者でしょうか。

仕事中に子どもを預かってもらえて、給食も食べさせてもらえるのは親としては絶対ありがたいはず(笑)

 

以上、幸せになる仕事の要素7つが教員に当てはまるかを見てきました。

こうやって見てみると教員って結構恵まれている方なのかもしれない。

転職もアリかなって思っていたけど、この本を読んで、今の仕事をもう少し面白くする工夫をしていったほうがいいのかなと思えてきました。