数学教員の一人議論

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RADWINPSの「最大公約数」でツッコミたいところ

こんにちは。

 

みなさんはRADWINPSの「最大公約数」という曲をご存じでしょうか。

こちらです。

youtu.be

 

私はこの曲が好きなのですが、1つだけひっかかるところがあります。

この曲に次のような歌詞があることです。

「探しに行こう二人の最大公約数を」

これはどういう意味なのでしょうか。

二人というのは恋愛関係にある君と僕の二人という意味でしょうが、この場合の最大公約数とはなんなのでしょうか。

 

そもそも整数a,bの最大公約数とは「a,bの公約数のうち最大のもの」です。

具体例で考えてみましょう。

例えば210と330の最大公約数は30になります。

これは、210と330を素因数分解すると分かりやすくなります。

210=2×3×5×7

330=2×3×5×11

これを見比べるとどちらも2×3×5を約数として持っており、これがどちらにもある約数のうち最大のものなので、最大公約数は2×3×5=30となります。

この具体例を見ると分かりやすいですが、最大公約数を探すというのは

2つの数がどちらも共通して持っている素因数をできるだけ多く見つけること

と考えることができます。

これを「君と僕の最大公約数を探す」に置き換えると

君と僕のどちらも共通して持っている要素をできるだけ多く探そう

という意味になりますね。

何とも野田さん(RADWIMPSのボーカル)らしい素敵な歌詞です。

 

ですが、私がひっかかっているのはここからです。

君と僕の最大公約数を見つけるより最小公倍数を見つける方が素敵ではないでしょうか?

具体例として先ほどの210と330で最小公倍数を考えます。

最小公倍数とは「公倍数のうち最小のもの」ですね。

210=2×3×5×7

330=2×3×5×11

この場合の最小公倍数は2×3×5×7×11で2310です。

これは210に「210は持っておらず330しか持っていない素因数(この場合は11)」をかければよいのです。

つまり最小公倍数を探すというのは

片方は持っていないけど、相手は持っている素因数を見つけて自分にかけることになります。

これを「君と僕の最小公倍数を探す」に置き換えると

僕は持っていないけど君は持っている要素を見つけて合わせよう!

という意味になります。

しかも単なる公倍数ではなく最小公倍数なので、

「君と僕以外の人が持っている要素はいらない」

というメッセージになっています。

こちらの方が素敵だと思いませんか?

 

「君と僕の最大公約数を探す」のと「君と僕の最小公倍数を探す」のはどちらが素敵だと思うかはその人の恋愛観によるでしょう。

私は自分と相手の弱点を長所でカバーし合いあう関係が素敵だと思うので、最小公倍数を推します。

みなさんはどちらですか?

ご一読ありがとうございました。